”サル痘(とう)”という感染症が世界的に流行する可能性があるようです。
聞き慣れない人が多いかもしれませんが、サル痘の感染拡大によってWHOは2022年7月23日に『公衆衛生上の緊急事態』を宣言しました。
現時点では日本でサル痘感染者は確認されていませんが、今後日本でもサル痘が流行する可能性は否めません。
この記事では、以下の内容を中心に紹介していきます。
- サル痘の症状や致死率
- サル痘の感染力や感染経路
- サル痘の予防法や治療法
万が一感染した時の為にもサル痘について理解を深め、備えておく事が大切です。
サル痘とは?
そもそも『痘』というのは、体に丸いできものができる”天然痘”という病気を意味します。
サル痘ウイルスと天然痘ウイルスはともに、『オルソポックスウイルス』という同じ種類のウイルスです。
サル痘はネズミを中心に、様々な哺乳類への感染が確認されていますが、ウイルスの宿主はわかっていません。
サル痘ウイルスは、1958年にデンマークで発見されました。
輸入されたサルが発症していた事が、サル痘という病名の由来です。
1970年にはコンゴ民主共和国で人への感染が確認され、その後アフリカを中心にサル痘感染が報告されていました。
このようにサル痘自体は昔から知られていましたが、感染者数が少なく重病ではないため大きく話題になる事はなかったのです。
しかし、2003年にアメリカで71件のサル痘感染が確認され、感染症として注目され始めました。
この時のサル痘は、犬から人に感染したといわれています。
サル痘の症状や潜伏期間は?
サル痘の潜伏期間は5~21日程度です。
サル痘に感染すると発熱・頭痛・発疹・リンパ節腫脹・筋肉痛などが発症します。
発熱後1〜3日で発疹が出ますが、発熱が無い場合もあるようです。
発疹は基本的には顔から体へ広がっていく場合が多く、皮膚表面だけでなく口内や韻部の粘膜、結膜などにもあらわれます。
発疹の初期症状として、皮膚が赤くなり徐々に水膨れになっていき、最終的には化膿してかさぶたになります。
サル痘は発症してからすぐだと、梅毒や麻疹等の症状と似ているため識別が難しい場合があるようです。
サル痘の症状は2〜4週間程度続きます。
サル痘の致死率は?
サル痘の致死率は1〜10%程度で、特に子供が重症化して死亡するケースが多いです。
ただし大人でも、持病や合併症により重症化してしまう事があります。
現時点では、医療環境が整った先進国での死亡は確認されていません。
サル痘の感染力や感染経路は?
サル痘は主にアフリカに生息しているネズミなどの齧歯類をはじめ、サル痘に感染した様々な哺乳類を介して人間に感染します。
感染者の皮膚の病変部・体液・粘膜と接触する事により感染するほか、飛沫感染も確認されています。
感染者との濃厚接触があれば感染する可能性が高く、感染力は高いのではないでしょうか。
サル痘の感染者数
2022年7月24日時点で、75か国で1万6000人以上のサル痘感染者が確認されています。
日本でのサル痘感染者は現時点ではまだ出ていません。
サル痘の予防法は?
サル痘の感染予防対策として、主に以下の対策が推奨されています。
- マスク着用
- 手洗い
- 感染者(動物含む)と接触しない
- 換気や空気清浄
- ワクチン接種
感染者の衣類や寝具から感染した例もあるため、場合によっては手袋の着用が必要です。
サル痘予防に有効なワクチンとして、天然痘ワクチンの『痘そうワクチン』が知られています。
天然痘ワクチンは感染予防・重症化予防に優れたワクチンです。
しかし2003年にはアメリカで、天然痘ワクチン接種者が相次いで心筋梗塞になったという事例もあります。
現代のワクチンは改良されているかもしれませんが、ワクチン接種する場合はそういったリスク管理も必要です。
サル痘の治療法は?
サル痘は、一般的に対症療法で治療します。
- 抗ウイルス薬(シドフォビル等)の服用
- 自然治癒
健康体の人であれば通常、2〜4週間程で自然回復する場合もあるようです。
まとめ
サル痘という感染症について、この記事を読んである程度は理解を深めてもらえたのではないでしょうか。
サル痘が日本で流行するかどうかは分かりませんが、どんな感染症なのか理解しておくだけで心の準備ができます。
今後のサル痘の感染状況に要注目です。